会社・法人破産とは ?
破産を分かりやすく対話形式でご紹介します。

私は、北九州で建設業を営んでいます。長年にわたり、なんとか事業を継続してきましたが、近年は売上が減少し、ここ数年は赤字続きです。金融機関への返済もかなり厳しくなり、あと数ヶ月で資金ショートを起こすことになりそうです。今の経営状態であれば、返済の目途が立たないのが現状です。
ここ数ヶ月、ずっと一人で悩んできました。私はどうすればよいのでしょうか?
はじめまして、弁護士の野上と申します。それはとても大変でしたね。お察しします・・・会社の経営難をお一人で悩まれて、本当に辛かったことと思います。
会社の債務を整理する方法は色々ありますが、貴社の状況であれば、残念ながら会社の自己破産を検討する必要があると思います。


・・・破産ですか。。。
「破産」という言葉は聞いたことがありますが、破産には抵抗があります・・。会社もなくなってしまいますし、正直、「人生が終わってしまう」という悪いイメージしかありません。
もちろん、破産はデメリットもあります。しかし、「人生を再スタートさせる」という意味では、非常に有効な手段でもあるんですよ。


また、「破産」という言葉のイメージから、謝った理解をされている方も少なくありません。
破産を正しく理解できるように、まずは解説させてください。


はい、宜しくお願いします。
会社破産のメリット・デメリット
確かに、「破産」というのは、「会社がその借金を返済することができない状態になった場合に、会社の財産を全て換価(売却や処分など)して債権者の方々に公平に分配することで清算を行う」手続きで、次のようなデメリットがあります。

- 会社が消滅し、事業が継続できなくなります。
- 会社の財産を全て処分しなくてはなりません。
- 経営者の方が会社の債務の連帯保証人などになっている場合には、その経営者の方個人も自己破産などの債務整理を行わなくてはならず、自宅や生命保険などを処分しなければならなくなります。
- 経営者個人がブラックリストに載り、5~10年間、金融機関からお金を借りたり、クレジットカードを作ったりことができなくなります。
- 保証人に迷惑がかかることがあります。
- 経営者の方等が自己破産をする場合、破産手続中(破産手続開始から免責決定まで)に限り、一定の仕事(警備員、生命保険外務員など)をすることができなくなります。

なるほど。しかし、他にも破産のデメリットはないのでしょうか?
破産したら、家族が借金を返さないといけないとか、選挙権がなくなるとか、戸籍に掲載されるとか、色々話を聞くのですが・・・
家族が会社や経営者個人の保証人になっているなどの事情があれば別ですが、そのような事情がなければ、あなたの家族が代わりに借金を返さなければならない、ということはありません。
また、破産したからといって、選挙権がなくなるとか、戸籍に掲載されることもありませんよ。


そうなんですね。。。少し安心しました。
そして、破産にはこのようなデメリットもありますが、次のような大きなメリットがあるんです。

会社のメリット
- 債権者の取立がストップ
- 借金を残したまま会社を清算 ⇒ 会社の借金を法的になくすことができる
経営者個人のメリット
- 債権者の取立がストップ
- 経営者個人も同時に自己破産 ⇒ 借金がゼロとなり、再スタートが可能
- 生活に必要な財産は残せる場合があります。

なるほど・・・破産には、デメリットもあるけれど、きちんと手続をとることで 法的に会社の借金を無くしてもらい、経済活動を再スタートすることができるという大きなメリットがあるんですね。
その通りです。法人は法律上の人であって実態はありませんが、経営者様は今を生きるヒトです。今後の人生を全うすべく、今の窮地を脱する必要があります。そのような経営者様の救済措置の一つが破産申し立てなのです。
破産という言葉が持つネガティブなイメージを、少しでも肯定的に捉えていただければ幸いに思います。

次のページ「 破産手続きを詳しく解説 」では、2016年の全国企業倒産件数や、破産手続きの流れなどについて解説します。