「破産をしたら身包みをはがされる?!」①

はじめまして、福岡・北九州の野上法律事務所所属の弁護士の岩岡です。これから、会社の破産(経営者の方の債務整理も含め)に関する日々の業務の中で、よくご質問を受けることや気付いたことなどを、自分の言葉で綴っていけたらと思っておりますので、宜しくお願いします。
●破産は身包みはがされる?!
さて、会社の経営者の方の多くは、会社の借金の連帯保証人になっている方が殆どなので、会社の破産を申し立てる場合には、殆どのケースで、どうしても経営者の方個人についても借金整理をしなければならなくなります。そして、この場合、経営者の方個人についても自己破産を選択せざるを得ないことが大半です(勿論、会社の経営者の方それぞれの個別の事情によって方法選択は変わってきますので一概には言えませんが)。
その際、世間で何となく存在する“破産=身包みをはがされる“といったイメージからか、経営者の方やご家族の方から、自己破産という選択肢をご提示した最初に「破産をしたら家財道具など財産はすべてもっていかれるのでしょうか?」といったご質問を受けることがあります。
そこで、今回は、”破産手続きにおいて残せる財産”についてご説明したいと思います。
●法定自由財産
この点、会社名義の財産については、残念ながら全て会社の破産手続きにおいて処分の対象となります。
これに対して、経営者の方個人の自己破産の場合には、次のようなものが法律上処分の対象とならない財産(これは「法定自由財産」といわれています)とされています。そして、この法定自由財産以外の財産については、基本的に全て処分の対象とされます。
・99万円以下の現金
・差押さえが禁止されている財産(和ダンスやカラーテレビ、エアコン等生活に欠かすことの出来ない家具や衣服、寝具等)
・給料と退職金債権の4分の3に相当する額
・年金や生活保護費など、それぞれで差押さえが禁止されている財産
・破産手続開始後に取得した財産(破産手続開始決定後の給料など)
●「自由財産の範囲拡張制度」
しかし、この法定自由財産に該当しない財産についても、裁判所の判断で、処分の対象から外すことができる場合もあります。このための制度が「自由財産の範囲拡張制度」です。
・・・その①はここまでとなります。その②はまた近日公開いたしますので、お付き合いくださいませ。
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