「債権者をすべて挙げないといけないのでしょうか?」②

(先日アップした「債権者をすべて挙げないといけないのでしょうか?」①の続きです。)
前回ご説明したように、破産法上、破産者の方には、債権者をすべて挙げる義務があり、債権者をすべて挙げなかった場合には、大きなリスクがあります。
●債権者を挙げなかった場合の不利益
債権者をすべて挙げなかった場合、次のような不利益があります。
個人の破産の場合
①債権者として挙げなかった債権者について、免責(債権の責任が免除されること)の効果が及ばなく
なる可能性がある。
②虚偽の債権者名簿を提出したとして免責不許可事由に該当することがある。
③破産犯罪に該当する場合がある
会社の破産の場合
会社の役員等の説明義務違反で破産犯罪に該当する場合がある。
つまり、破産を申立てた後で、意図的に債権者をすべて挙げなかったことが発覚した場合には、個人破産の場合には破産の最大の目的とも言える「免責」が得られなかったり、破産犯罪として責任追及される可能性があるのです。
さらに、破産手続き中に発覚せずに免責が許可されたとしても、債権者として挙げなかった債権者には、「免責」の効果が及びません。そのため、その債権については、破産後も返済を続けなければならず、もし返済が滞ってしまった場合には、債権者から厳しい催促や訴え提起を受けたりと、再び苦境に陥ることにもなりかねないのです。
しかも、この場合、前回の破産で免責を一度受けているため、それから7年間は原則免責が受けられず、破産という最後の手段をとることもできません。
● わざと債権者を隠したわけではない場合でも不利益が生じる可能性があります
また、破産者ご本人が、わざとではなく、ある債権者の存在をすっかり忘れてしまい債権者として挙げ忘れた場合にも、破産犯罪や免責不許可事由とはならずとも、その債権者に免責の効果が及ばず、破産後も返済を続けなければならなくなる可能性があります。
・・・その②はここまでとなります。その③はまた近日公開いたしますので、お付き合いくださいませ。
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