会社破産の場合に速やかな申立てが必要とされる理由~従業員の方々の利益という点から~①

福岡・北九州の会社破産・法人破産を手掛ける野上法律事務所所属の弁護士の岩岡です。
会社の破産の場合、申立費用の捻出にどうしても時間がかかる場合等を除いて、できるだけ速やかに破産申立てをすべきと言われています。
理由としては、「会社の資産の価値減少を防ぐ必要性があるため」や「会計資料等必要な資料の散逸を防ぐため」等があります。
そして、これらの理由以外にも、特に従業員の方々への未払給料がある会社の場合には、従業員の方々の利益のためにも、破産申立てを急ぐ必要性が出てきます。
●理由① 解雇や未払給料の発生から3か月が経過してしまうと、給料債権は、財団債権ではなくなってしまう。
従業員の方々の給料債権のうち、破産手続開始決定日3か月前までの給料債権は、破産手続の中で、財団債権として扱われます。
この財団債権とされた給料債権部分は、破産手続上で破産財団が形成された場合には、破産債権よりも優先して弁済を受けることができます。
しかし、逆に、破産申立てが遅れ、従業員の方を解雇した日や未払給料が発生した日から3か月が経過してしまうと、従業員の方々の給料債権は、財団債権とはならず、優先的破産債権にしかなれません。そうなると、優先的破産債権となった未払給料債権は、税金等に劣後してしか配当が受けられなくなってしまいます。
・・・その①はここまでとなります。その②はまた近日公開いたしますので、お付き合いくださいませ。
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