会社破産の場合に速やかな申立てが必要とされる理由~従業員の方々の利益という点から~②

(先日アップした「会社破産の場合に速やかな申立てが必要とされる理由~従業員の方々の利益という点から~」①の続きです。)
前回のブログで、会社破産の申立てを速やかに行った方が良い理由として、破産申立てが遅れると、従業員の方々の未払給料債権が財団債権ではなく優先的破産債権となってしまうおそれがあることをご説明しました。
●理由② 解雇(退職)日から6か月が経過してしまうと、未払賃金立替払制度の利用ができなくなってしまう。
破産手続の中で従業員の方々の未払給料を支払えるだけの破産財団が形成できない場合等に、国が、破産した会社に代わって、従業員の方々の未払賃金の8割(但し、退職時の年齢に応じた上限額有り)を立替払いしてくれる「未払賃金立替払制度」があります(詳しくは、「未払賃金立替払制度」に関する過去の記事もご参照下さい。)。
しかし、この「未払賃金立替払制度」で立替払いを受けるためには、その従業員の方が「破産手続開始等の申立て(事実上の倒産の認定申請)の6か月前の日から2年間に退職したこと」が必要となります。
そのため、もし会社の破産申立てが遅れてしまい、従業員の方々の解雇(退職)日から6か月が経過してしまうと、従業員の方々が「未払賃金立替払制度」を利用できなくなってしまうおそれがあります。
このように「未払賃金立替払制度」を利用する必要がある場合には、従業員の方がこの制度を利用できるようにするためにも、特に会社の破産申立てを急ぐ必要があるのです。
●まとめ
会社が破産する場合、どうしても、これまで一緒に働いてきてくれた従業員の方々に迷惑をかけることになってしまいます。
しかし、法人破産の申立が遅れてしまうと、これまで述べてきたように従業員の方々にさらに負担をかけてしまうおそれがあります。
少しでも従業員の方々への負担を少なくするためにも、どうしても申立準備期間が必要な場合(破産申立費用の捻出のため等)を除き、速やかに破産申立てを行うことができるよう準備を進めるようにしましょう。
以上
併せて 会社・法人破産の解説 ページもお役立て下さい。